
Throwback 2023
Santa Croce, Toscana
17-18th Feb, 2023
AS A BIRDのトラベルジャーナルシリーズ第2弾。
世界を旅しつづけた記憶を遡りながら、1シリーズを4章に分けて振り返っていきます。
今回はパンデミック後初めてのヨーロッパへの旅、フィレンツェ~サンタクローチェ~ミラノ〜パリ2023年の旅を紹介します。
前回の更新から随分間が空いてしまいました。
長いヨーロッパへのフライトを経てパリ経由でフィレンツェへ。
そしてサンタクローチェというトスカーナ州のタンナー(革工場)エリアへ入りました。
前回の記事はこちら
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流石イタリアともいうべきか、最高のランチの後工場のウェアハウスへ戻る。
革の匂いが充満する空間、ここに戻ってきたと思うと嬉しくなった。
パンデミックの間には感じることが少なくなっていた「現場感」。
毎日自宅のデスクに向かってデザインワークを進めていく日常も、効率の良さを感じ嫌いではなかったが、なぜか充実感を感じられずにいた。
きっと日々アウトプットばかりで、偶然の出会いによる刺激が足りなかったのだろう。
ウエアハウスをぐるっと見ているとそこで、以前インハウスデザイナーだった時には目にも入らなかった素材が目に入る。
一枚一枚が異なる表情を持つ上、一枚の中でも部分ごとに異なるシボを持つ”バブルラム”と呼ばれるレザーのサンプル。
圧倒されるような迫力のあるシボを持つラムレザーは、不均一さが原因で、同じ製品がたくさん作れないという理由から大手のデザイナーからはなかなかチョイスされにかったとのことだ。
デザイナーになってから、キャリアを通して現在まで大手ブランドの仕事の経験が多いだけに、不均一で扱いにくいというだけで見送ってしまうその感覚はよくわかる。
その後、他の革のサンプルを見せてもらってもどうしてもさっきの”バブルラム”のことが気になってしょうがなかった。
この素材を使ったらどのようなアイテムが作れるとか、そんなことを考える以前に、革そのモノが持つパワーに強く惹かれてしまっている。
どのようなアイテムを作ったとしても、一枚の革から切り出す部分によっても表情が異なるだろう。一点ものになるはずなのだ。
このタンナーを出た後は、現地の靴工場やタンナー等をいくつか訪問させていただいた。
仕事の後には、久々のサンタクローチェで知人たちの顔が見れてとても幸せだった。
「タンナーを訪れて良い革を探し、今後のアイテム開発に活かす」会社員時代によく出張予定表に書いたタイトル。そんなのはただの名目でしかないのだ。
現場を訪れる醍醐味は、空気を感じ、そこにいる人に会うことだ。
今回はパンデミック後初めてのヨーロッパへの旅、フィレンツェ~サンタクローチェ~ミラノ〜パリ2023年の旅の第2章では、サンタクローチェのでバブルラムレザーに出会った瞬間を振り返りました。
既にバブルラムレザーを使ったアイテムは展開されています。店頭に並ぶ製品をお客様にご紹介する際に、この旅のことを思い出し、アイテムを作り始めたその瞬間のことを昨日のことのように思い出しています。
次回第3章はミラノに移動します。次回もお楽しみいただけますと嬉しいです。