Throwback 2023
Firenze~Santa Croce
16-17th Feb, 2023
AS A BIRDのトラベルジャーナルシリーズ第2弾。
世界を旅しつづけた記憶を遡りながら、1シリーズを4章に分けて振り返っていきます。
今回はパンデミック後初めてのヨーロッパへの旅、フィレンツェ~サンタクローチェ~ミラノ〜パリ2023年の旅を紹介します。
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ヨーロッパに向かうのは久しぶりだった。
最後に行ったのはパンデミック直前2020年の年明けだった。年に数回訪れていたのに気がつけば2年の空白。わずか2年という期間ではあるが、激動の時期を乗り越えてヨーロッパがどのように変わったのか気になるところ。
この旅では久々のヨーロッパということもあり、やりたいことが盛りだくさん。
しばらく会えていなかった友人にもあいたいし、革や資材の最新情報も仕入れたいし、パンデミック前後のマーケットの変化も見たいし、人々の様子も見たい。
日本を出て、パリで乗り換えてフィレンツェに入り、トスカーナ州サンタクローチェの革工場(タンナー)を訪れ、その後ミラノではヨーロッパ最大の革資材の見本市リネアペレを訪問、その後パリの街をリサーチしてこようというプランだ。
最初の乗り換え経由地であるパリまでの久々の長距離便に乗っていると、今回はやけに時間がかかるなと感じる。ふと気づくと周りの乗客が、オーロラが見えると騒いでいる。
そんなわけあるか。腕時計を見ると今頃ロシアの上空を飛んでいるはず。
あとどれくらいでパリに着くのかと思い、フライトマップを見てみると、何かがおかしい。
見間違えなのかと思ったが、確かに以前と逆方向に飛行機が飛んでいる。
通常であればロシア・中東の上空を越え、最短距離でヨーロッパを目指す飛行機は、なんと太平洋、北極圏を越え上空からパリに入ろうとしている。ロシア戦争のせいだろうか。
パリで乗り換えてフィレンツェについたのは夜。すでに20時間以上が経過していた。
パンデミック前であればこの時間をかければ南米のメキシコまで入れた時間だ。まだ眠くなかったのでホテルに荷物を下ろして、街を散歩することに。
なんだか人が少ない。パンデミック後だからだろうか。
なんだか以前より物々しい雰囲気を感じて小走りでホテルに戻ったのだった。
翌日は早くからローカル線に乗ってフィレンツェ駅からエンポリ駅という小さい駅に移動。
駅では古くからの革工場を複数経営する友人が待っていてくれた。
僕は革工場を訪ねるのが好きだ。天然の素材を耐久性のある資材に変えるために古来からの伝統技法を守りながら新しい見え方のするトレンド性の高い素材造りを追求している、まさに「伝統と革新」の現場だからだ。
工場のエントランスのソファーに座りながら誰々の息子が同じ工場で勉強しながら働きだしたとかいう家族周りの話から、今日の夜は何を食べようかとか。どの革が最近人気なのかとか、今年はあそこのメゾンからたくさん注文が入ったとか、徐々に仕事にムードに入っていく。
日本人の僕的には「では革をみましょうか。」というムードにエンジンがかかったところで、
「じゃ、ランチにでも行こうか」と誘われる。そうだ。これがイタリア人のペースだった。
なんだかとても懐かしい。ヨーロッパに来るたびに日本で時間を詰め込んで仕事をしているのを少し反省するのだ。余裕を持ったこの感覚、たまに味あわないとダメだなぁと思った。
今回はパンデミック後初めてのヨーロッパへの旅、フィレンツェ~サンタクローチェ~ミラノ〜パリ2023年の旅の第1章では、サンタクローチェに到着するまでを振り返りました。
なかなか本題に入れずにいますが、これこそがヨーロッパ時間。次回第2章はようやくトスカーナで見つけた革のお話しに入ります。次回もお楽しみいただけますと嬉しいです。