ポートランドに行きたかった理由は、世界最大のシューズブランドNIKEの本社に行くのが目的。
NIKEは、ポートランド郊外に本社を構え、世界を牽引するオレゴンブランドで、「ナイキ・ワールド・ヘッドクオーター」と呼ばれるNIKE本社がビーバートン市にはあり、1万人以上の人が働いています。
事前に連絡しておいたこともあって、受付のおばちゃんが社内を自由にみて良いわよと、半分案内、半分放置といった状態で本社内にあるナイキ・ミュージアムを見学させてもらいました。
そのミュージアム内にあるオレンジの箱を積んだ素敵なワゴン車が目に留まりました。どうやら創業当時、この車を使って行商スタイルをしていたそうで、それが再現されていたんです。他にも、当時サポートしていた地元のミシガン大のアパレルやシューズ、過去に作ったアーカイブなどがあり、エントランスからNIKEの歴史や最新のデザインや技術が感じられる展示がされていました。
NIKEを見学させてもらって、やっぱりシューズって面白いなと再確認しました。
シューズはファッションアイテムでありながら、それ以上に機能性も求められるアイテム。
陸上用のシューズには陸上用の機能が備わっているし、バスケットボール用のシューズにはバスケットボールに特化した機能が備わっている。構造から始まってデザインが生まれているのが本当に面白い。
例えばNIKEの”AIR”。クッションニングの機能を可視化し、中に入っているものを外に見せることで、分かりやすくなりヒットしたアイテムなので、プロダクトデザインの本質をよく捉えていると思っています。役割から機能が生まれ、機能がデザインになり、それをファッションに昇華させていくので、そこが機能性から入ったモノづくりの魅力なんですよね。
ポートランドを訪れたことでなんだか背中を押してもらえたし、自分がやりたいことのルーツを思いださせてもらった気がしました。
2018年時点でシューズを作り始めてから十数年、シューズデザイナーとして当たり前になっていた頃、まだやれることがあると再度感じられたことと同時に、10歳の時から憧れていた仕事につけていることに改めて感謝せずにはいられない旅となりました。
この度を通じて、もう一つの思いも沸々と湧いてきました。
確かに憧れていたシューズデザイナーにはなれたかもしれない。ただ、シューズ以外にも様々なカテゴリのアイテムを作ってみたい。そして挑戦する人の後押しができるような、そんなプロダクトを作ってみたいという思い。少しずつですが2020年からスタートするAS A BIRDプロジェクトのタネみたいなものが出来上がっていったような気がします。
次週 第4章では、シューズデザイナーを志すきっかけになった街サンフランシスコを再訪した際のことを振り返ります。